2012年10月5日金曜日

福島「不安な日常」映画化

◇8日、野洲で上映~避難者の会「今を知って」
東日本大震災や原発事故が起きた福島県で暮らす人々の日常を記録したドキュメンタリー映画「普通の生活」が8日午後2時半から、野洲市小篠原の野洲文化ホールで開かれる。関西での上映は初めてで、被災地からの避難者でつくる「滋賀県内避難者の会」代表の遠藤正一さん(50)(野洲市)らが企画した。「震災から1年半が過ぎたが、福島は今も苦闘している。多くの人に現状を知ってもらえたら」と来場を呼びかけている。(渡辺征庸)

    同映画は、野洲市の重症心身障害児施設「第2びわこ学園」のドキュメンタリー映画「わたしの季節」(2004年)で助監督を務めた札幌市の映像作家・吉田泰三さんが監督として製作した。

 遠藤さんはかつて第2びわこ学園で働いたことがあり、吉田監督とは旧知の仲。遠藤さんはびわこ学園で勤務を数年続けた後、家族と共に故郷の福島県郡山市に戻り、地元の福祉施設で働くようになった。


 映画「普通の生活」の一場面。 被災地の
現状が映し出される

 大震災の発生翌月の昨年4月、吉田監督は福島入りし、ボランティア活動をしながら、住民の日々を追ってカメラを回した。遠藤さんとも旧交を温め直し、被災地で懸命に過ごす遠藤さんの姿も収録。こうした映像を今年3月、80分の作品として映画を完成させた。

 作品では、放射性物質への恐怖から、幼児に「ぼくはいつまで生きられるの?」と聞かれて声を詰まらせる母親や、「福島で育ったから差別を受けるかも……」と不安を抱く小学生の女児らの姿を映し出し、被災地に生きる人々の苦悩や葛藤を伝える。

 放射性物質への懸念がぬぐえず、遠藤さんはまず家族を昨年6月、野洲市に移住させ、自身も今年3月、引っ越してきた。現在は草津市の福祉施設で働いている。今回、遠藤さんは「『福島』を忘れず、今一度考えてもらう契機にしたい」と願い、今年6月から「普通の生活」の県内での上映準備を進めてきた。

 上映当日は、午後1時半から吉田監督の話もある。入場料800円。問い合わせは遠藤さん(090・2028・7163)へ。

2012年10月4日 読売新聞)

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