2012年3月12日月曜日

高機能自閉症者を昼夜通じて支援 滋賀県が全国初

  滋賀県は2012年度、人とのコミュニケーションが苦手な高機能自閉症者が地域でスムーズに生活するための準備として、昼夜一体型の支援を始める。発達障害の一種で、知的障害を伴わない高機能自閉症の人は、近年まで障害者福祉サービスを受けられないまま、社会において対人関係でつまずいてひきこもりに陥ることも多いという。

 障害者自立支援法が2010年12月に改正されて、発達障害も障害者福祉サービスの対象として明確に位置づけられた。県が今回行う発達障害者支援は、同サービスを活用した昼夜一体型の事業で、全国初めて。県のこれまでの支援は成人期の発達障害者への相談などにとどまっていた。

 今回の取り組みは定員10人で2年間行う。高機能自閉症の人向けのグループホームを運営するなど、支援のノウハウがある社会福祉法人「滋賀県社会福祉事業団」に委託する形で、昼間は同法人の就労支援事業所で物づくりやパソコン作業、対人関係解決の訓練を行い、夜は県が借り上げたアパートで寝起きしながら生活訓練を受ける。内容は個々の特性に合わせて決めるが、将来的に地域で一人暮らしをしたり、企業や店で働くことも見据える。

 昼夜合わせて法人の職員5人が支援するが、県が2人分の人件費を負担する。また今回の取り組みの成果をまとめて、他の社会福祉法人に伝えたり、同様の昼夜一体型の支援をできる法人を認証化する制度も検討する。新年度予算案に合わせて1千万円を確保した。

県障害者自立支援課は「障害者が地域で当たり前に暮らせるきっかけ作りの拠点にしたい」とする。

2012年02月26日 22時40分 京都新聞滋賀県民版

0 件のコメント:

コメントを投稿